在宅介護と施設介護の仕事内容の違い

介護士が活躍する現場は、有料老人ホームや特別養護老人ホームのような、介護施設だけではありません。在宅介護サービスの事業所等に所属しながら、要介護者の家で活躍する訪問介護士といった方たちも大勢います。

では、この在宅介護サービスでの介護士の仕事は、施設とどのような違いがあるのでしょうか。まず施設でも在宅であっても、利用者の日常生活を支援するという点においては、介護士が求められる役割の基本です。したがって介護士の仕事の内容も、両者では重なる部分がほとんどと言えます。

ちなみにここでの「利用者」とは身体上または精神上の障がいを抱えている者であり、「日常生活」とは一般的な起床から食事、身支度、洗顔、さらに入浴や排泄、就寝などに至るまで、人が生きる上で必要不可欠な生活パターン全般を指します。

ただし、在宅での介護が施設と大きく異なるのは、サービスを提供する場所が利用者の居宅であるということ。そして現場では基本的に1人での業務が中心になります。施設介護では利用者が集団生活をしている上、介護士はチームでサービスを提供しているため、完全1人の状況は決定的な違いと言えるでしょう。したがって居宅で万が一、利用者に不測の事態が発生すれば、担当の介護士による迅速かつ的確な対応が強く求められます。

もう1つ忘れてはならない違いは、信頼関係の構築です。在宅介護では利用者と介護士だけの空間になるケースがほとんどです。高品質な介護サービスを実現するには、高い倫理性と優れたコミュニケーション技法によって、利用者やその家族と強い信頼関係を構築しなければなりません。